恐怖の前で私は真顔でいられない

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思い返してみても、私は何事においても嫌なことは後回しにするタイプだと思う。LINEの未読は当たり前、長期休暇の課題は始業式の日にオールなんて毎度のことで、多分、今回もそれなんだ。面倒くさい、を武器にして怖い、を見えないようにしているんだ。

 


面倒臭いから、後回しにしていたらいつの間にかその日になっていた。言い訳。本当は、向き合うのが怖い。返信しても既読無視されるのが怖い、課題の答えを見て、チェックのときに先生から失望されてしまうのが怖い、低い点数が怖い、自分が傷つきたくなくて目を逸らしてしまう。卑屈すぎる。底が見えないくらいの底意地の悪さ。しょうもない。

 


中学のころ、誰も名前も知らない高校を志願した。みんながどこそこ、っていうような学校。まあ田舎だもんね、この街さ。さあ入学。右を見ても左を見ても知らない顔。望んだ結果だ。私を知る人がいない高校を選んだ。制服が可愛くて、都会にある、いかにも将来なんか考えるよりも今が楽しければいい、なんて書いた看板を首にぶら下げたような女子高生になることが夢だったから。結果、怖かった。何がって、誰も知らないから。誰のことも知らなくて、誰も私を知らない。誰も知らないような田舎の街から来た田舎の子。必死で自分の評価を上げられるように頑張った。人間評価。頑張る部分ががまずしょうもない。だけど仕方がない。既にしょうもない人間だもの。必死で言葉を探して、笑顔作った。自分の言葉は正解なのか、不正解なのか、失敗なのか、成功なのか。いつも不安だった。ただのコミュ障なんだろう。許してあげてね。それでも、それなりに、それ以上に楽しかったと思う。思い描いていた女子高生、とまではいかなかったけど、それでも地元でこの制服を着るのはなかなかの優越感だった。可愛いでしょ?この制服、公立だよ。都会のね。なーんて心で呟きながら。本当に腐った性格。まあ、腐りかけのトックよりはましでしょう?この前腐りかかって緑になったトックを見つけたときは驚きで声も出なかったよね。アレよりはまし。そーんな高校生活だった。

 


私の学校は進学を選ぶ生徒が多い。私も進学を選んだ。やりたいことがあった。まあ、それも諸々の理由でやれないから今はお先真っ暗みたいな感じだけどね。進学先はこの何の意味もない、何の需要もない、誰のためにもならない文章の終わりまで伏せておくね。今までもそうしてきたから。私が選んだ今の進学先だって言ってしまえばノリなんだ。確かに少しは考えのなかに入っていたけど、それも5番手あたりの選択肢。だって私のママ、私のことが大好きだから(多分家計の問題で) 家からは出さないって言うんだもんね。だから現実になるなんて思ってなかったんだ。本当にそう決まって、先生に進路変更を伝えたときは天に昇ったような気分だったかもしれない。反面、それまで私の元々の志望校のために協力してくれた先生たちには申し訳ない気持ちしか無かったけど。進路が形になっていく段階で、嬉しかったし、いろいろ調べては夢みたいでその時間も楽しかった。日を追うごとにその計画は確実になって、気づいたら自分でも表しきれない数の感情でズタズタになっていった。怖くなってしまった。家族や友達から離れるのが。怖くて怖くて、布団にくるまって泣いた。寝る前は嫌でも考えてしまう。同じ理由で同じように泣く日なんて何度あったか思い出すだけ時間の無駄だからもうその辺に捨てておこう。でも今日にはもう泣かなくなっていた。泣いたって避けられないし、その事実と対峙してしまうと怖くて絶対に泣いてしまうことなんて分かっているから。

恐怖の前で私は真顔でいられない。

笑ってなんかいない。泣くこともない。正面を向けないでいる。現実であることを否定する。すぐに、本当のことだと気づいて考えるのをやめた。もう寝よう。あと数時間で朝になるから、朝になったらまた顔を洗って、歯を磨いて、ご飯を食べたら、大好きなわんちゃんたちの頭がボサボサになるくらいに触ってやるんだ。そうしたら次の日私はもう日本にはいない。

 


明日の私はもう目を逸らさない。

前を向いて、恐怖に唾を飛ばしてやるんだ。

 


いままで、支えてくれてありがとう、新しい地で頑張っていきます。

 


Good night

2021/03/11